【開催報告】ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト「サステナブルデイリーファーミングセミナー」酪農家や乳業関係者と考える「牛や人にやさしく次世代に続くサステナブルな酪農」

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ニュージーランド乳業最大手フォンテラの日本法人であるフォンテラジャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:國本竜生)は、ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトによる「サステナブルデイリーファーミングセミナー」(日時:2024 年 9 月 20日(金)/場所:東京品川)を開催しました。

ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトは、日本の酪農の収益性と持続可能性に貢献することを目標に、ニュージーランドの放牧酪農のノウハウを活かし、北海道内での放牧酪農の可能性を調査するプロジェクトで、今年度はプロジェクト発足から10年目を迎えました。同プロジェクトの一環として実施した、「サステナブルデイリーファーミングセミナー」は、放牧酪農を中心とした持続可能な酪農をテーマに、ニュージーランドや北海道の成功事例を紹介し、次世代へ続くサステナブルな酪農の可能性を探るものです。酪農家や酪農・乳業関係者など約40名を対象に、日本における放牧酪農の発展について講演しました。

サステナブル酪農のカギは徹底的なデータ管理

当日のセミナーでは、ニュージーランドから来日したプロジェクトのメインコンサルタントであるキース・ベタリッジ氏が「ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトの取組と可能性について」というテーマで講演をしました。ベタリッジ氏は、草の成長や牧草量・質、牛の成長といった徹底的なデータ管理が、サステナブルな酪農の実現にいかに重要であるかを説明しました。また、ニュージーランドでは政府と酪農業界が密接に連携し、酪農家の財務状況も開示されていることが紹介されました。

 

放牧酪農によって酪農家がワークライフバランスを実現

一般社団法人日本草地畜産種子協会の放牧アドバイザー、須藤純一氏は「放牧酪農の有利性とプロジェクト農家の財務分析」と題して、日本の酪農家の経営状況を分析するとともに、放牧酪農の優位性について紹介しました。須藤氏からは、酪農場の飼養頭数の拡大が必ずしも利益に直結するわけではないことが示されました。また放牧酪農は、労働時間の短縮によって酪農家の生活にゆとりをもたらすだけではなく、アニマルウェルフェアの観点からも優れており、土・草・家畜という資源循環型畜産であることが説明されました。

フォンテラはサステナビリティの取り組み強化に向けて、約900億円の投資予定

フォンテラのミーガン・ロバートソン サステナビリティ・戦略マネージャー(Fonterra Commercial Trading-Shanghai所属)が「ニュージーランドが取組む環境型酪農について」と題したプレゼンテーションを行い、フォンテラのサステナビリティの取り組みについて以下のように説明しました。

フォンテラは、2030年までに達成する製造および事業運営における温室効果ガス排出量削減目標を30%から50%に引き上げました。この目標達成に向けて、製造拠点のエネルギー源を石炭から再生可能エネルギーへ移行する取り組みを推進しており、電動ミルクタンカーの試験運転も開始しています。これらの目標を達成するため、10億NZドル(日本円にして約900億円、2024年10月8日時点)を投資する予定です。
もう一つの目標として、農場における排出量を2030年までに30%削減することを掲げ、農場向けの「インサイトレポート」を発行し、酪農アドバイザー(Sustainable Dairy Advisor)が酪農家と協力して「農場環境プラン」を策定しています。これにより、農場内の改善策の優先順位をつけ、現状の強みや改善の機会を認識し、具体的な行動に結びつけるサポートをしています。また、牛のゲップから排出されるメタンガスの削減に向け、新しい技術を活用した取り組みを進めており、政府、業界、その他の企業とのパートナーシップを通じて、さまざまな解決策に取り組んでいます。

今回のセミナー開催の背景には、サステナビリティ目標の達成において、当社だけで実現するのは困難であり、お客様や取引先とのパートナーシップが不可欠であるという認識があります。私たちは、持続可能な未来を築くために、協力し合うことの重要性を強く感じています。酪農業界におけるサステナビリティ(持続可能性、地球環境への配慮、アニマルウェルフェア)への取り組みは、業界の持続的な発展に加え、本プロジェクトの参画企業として社会的責任を果たす上で欠かせないものとなっています。放牧酪農は土地が必要なため、肥沃な土地を活かした北海道においてニュージーランド式の放牧酪農と従来の飼養形態が共存することで、今後も日本における放牧酪農の推進と持続可能な酪農の取り組みに貢献してまいります。

【サステナブルデイリーファーミングセミナー】概要

◼ 日時: 2024年9月20日(金)13:30 ~ 17:00

◼ 場所: TKP品川グランドセントラルタワーカンファレンスセンター

(東京都港区港南2丁目16-4 品川グランドセントラルタワー 3 階)

◼ 主催: ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト

(ニュージーランド大使館 ファームエイジ株式会社 フォンテラジャパン株式会社)

◼ 協力: 北海道庁 ホクレン農業協同組合連合会

◼ プログラム

・ 開会の挨拶: ハワード・ステイブリー ニュージーランド大使館 第1次産業参事官

・ 講演:1.「ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトの取組と可能性について」

➢ キース・ベタリッジ ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト メインコンサルタント

・ 講演:2.「放牧酪農の有利性とプロジェクト農家の財務分析」

➢ 須藤 純一 一般社団法人日本草地畜産種子協会 放牧アドバイザー

・ 講演:3.「ニュージーランドが取組む環境型酪農について」

➢ ミーガン・ロバートソン Fonterra Commercial Trading-Shanghai サステナビリティ・戦略マネージャー

・ 閉会の挨拶: 國本 竜生 フォンテラジャパン株式会社 代表取締役社長

 

【ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトとは】

日本の酪農の収益性と持続可能性に貢献することを目標に、ニュージーランドの放牧酪農のノウハウを活かし北海道内での放牧酪農の可能性を調査するプロジェクト。2014年にスタートしたこのプロジェクトは、ニュージーランド政府、ファームエイジ株式会社、フォンテラジャパン株式会社の3者の共同プロジェクトで、北海道庁およびホクレン農業協同組合連合会の協力のもとで行われています。